竜二が叫ぶが、振り向いて確認することはできなかった。
振り向けばピエロに追いつかれてしまうという恐怖が勝った。

このまま一気に昇降口まで行きたいけれど、今になって足の甲が痛み始めていた。
今朝湿布を張り替えたけれど、効果が薄れてきたみたいだ。

「うっ」
右足の痛みが限界に達して小さくうめき声を上げる。

走る速度が遅くなり、後ろをついてきていた綾に追い越されてしまった。
「千夏?」

竜二が心配そうに声をかけてくるけれど、私は微笑んだ。
「大丈夫だから、行って!」

私のすぐ後ろから音楽が迫ってくる。