事務所はカウンターの奥に部屋があるから、先生が出入りすれば必ず誰かが気がつくはずだ。

「まさか……」
そう呟いたときだった。

カランッと微かな物音が聞こえてきた。
それは誰もいない図書室の中から確かに聞こえた。

竜二も健太も綾も表情がひきつる。
カラカラカラッ。

安っぽいタイヤが回る音と、ピエロの音楽が聞こえてきたとき、私は弾かれたようにそちらへ視線を向けていた。

誰もいなかった図書室の隅からピエロが出現したのだ。