どれだけ気をつけていてもソレは突然現れる。

いつもは図書委員の仕事を終えてグラウンドへ出たタイミングだったけれど、私は途中で異変に気がついた。

「今日は本当に利用者が少ないね?」

なぜだかわからないけれど、委員の仕事が始まってからも生徒たちはあまり図書室を利用していなかった。

今は図書室の中に誰もいない状態だ。
「珍しいな。こんなこと滅多にないのに」

健太がメガネをお仕上げて周囲を確認している。
壁に隠れて見えない場所を見てみても、やっぱり誰もいなかった。

「なんだか急に静かじゃない?」
震える声で言ったのは綾だった。

「そういえば外からの声が聞こえなくなったな」