図書館を利用していた数人の生徒たちからの視線が痛い。
「それ、どういうこと? ピエロはしゃべるってこと?」

「幽霊探偵さんの憶測が正しければそういうことになる。つまり、頑張れば僕たちも意思疎通ができるかもしれないってことなんだ」

ついさっき考えていたことが急に現実味を帯びてきてとまどう。
ピエロと会話するなんて、本当にできるだろうか?

「昨日みたいに映像でなにかを教えてくるくらいだから、伝えたいことがあることは確実なんだ」

「そうだよね……!」
急に視界が開けた気がした。
ピエロと対話ができるのなら、きっと問題解決はすぐ目の前だ。

「でも気をつけないと、ピエロは昨日よりも更に強くなってるはずだからな」
健太は用心しながらもその声は明るい。

「わかってる」
私は大きく頷いたのだった。