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「綾たち大丈夫かな」
カウンター業務をしながらも気持ちはピエロの問題へと戻っていってしまう。

今日は本当に利用者が少なくて、仕事がないことも原因だった。
「健太がいるから大丈夫だろ。電話でなにか聞けてるかもしれない」

「うん。そうだね」
頷くもののやっぱり気になって落ち着かない。

私はそわそわした気持ちで図書室のドアを見つめる。

「ピエロは空き家に入った人を脅かしていただけなのかな? それが、誰かの手によって捨てられて、豹変したとか?」

「誰かがピエロをゴミ箱に捨てたことは間違いねぇよな。それが肝試しに行った誰かなのか、それとも身内なのかはわからねぇけど」

竜二は両腕を天井へ伸ばしながら言う。
あの家にいたピエロはなぜ家に戻ろうとしないんだろうか。

そのこともわからなかった。