そして【ピエロに追いかけられてるから、助けてくれ】と末尾に書いて送信ボタンを押してしまった。
「なにするんだよ! あんな雑な文章じゃ返事をくれないかもしれないだろ!」

せっかく途中まで書いていた文章を台無しにされて健太が怒っている。
「ダラダラ長いダイレクトメールなんて届いても、確認しねぇだろ」

「それは竜二だけだろ。文章を読むのが嫌だから、普段からそういうのが届いても無視してるんだ」
「なんでわかるんだ?」

ふたりがやり取りしている間に、さっそく幽霊探偵さんからの返事があった。
今の時間にSNSを見ていたんだろう。

【こんにちは。ピエロに追いかけられたって本当ですか? あの家に行ったんですか?】
「ほら見ろ。返事だって短くてわかりやすいじゃねぇか」

竜二が勝ち誇ったように言うので健太はムスッとした顔で黙り込んでしまった。