「ナイフが本物だった! こんなのありえない」
健太も分析しながらも顔色が悪く、ずっと綾の手を握りしめている。

綾は青ざめ、言葉にならないみたいだ。

「私が見たのはきっと夢じゃなかったんだよ。こんなの、人形が動くなんてこと、ありえない!」

物置の陰からピエロの様子を伺っていると、しばらくグランド泣いをグルグルと回っていたかと思うと、急に方向転換して校門から外へ出ていってしまった。

それでもしばらくその場から動くことができなくて時間だけが過ぎていく。
「もうそろそろ大丈夫じゃないか?」

十分に時間が経過したのを確認してから竜二が立ち上がった。
グラウンドには誰もいないし、音楽も聞こえてこない。

4人で割れたサッカーボールを見下ろすとバラバラに切り刻まれていることがわかった。
これがもし、私たちの誰かに降り掛かっていたら?