焦りから周囲へ視線を走らせる。
出窓に殺虫スプレーが置かれているのが見えた。

バッドの攻撃で撃退できないものが、スプレーで撃退できるとは思えない。
だけど私は右手を伸ばしてそれを手に取っていた。

バッドでの攻撃だって、最初の頃はきいていたんだ。
もしかしたら、スプレー攻撃だってはじめは効果があるかもしれない!

そんな期待だけを胸にスプレーをピエロへ向ける。
そして近づいてきたピエロめがけて噴射したのだ。

ピエロはその場で動きを止めて焦った様子で方向転換し始めた。
きいてる!?

私は一歩足を前に踏み出して自分からピエロに近づいた。
ピエロはスプレーから逃げるようにベッドの下へと入っていく。

「待て!!」
追いかけてベッドの下を確認してみると、ピエロはすでにいなくなっていたのだった。