「え……嘘でしょ」
驚いて受けなくなっている私に、他の3人は気が付かない。

ピエロはカラカラと細いタイヤを回転させながら近づいてくる。
その右手にナイフのようなものが握られていることに気がついて「ひっ!」と、悲鳴をあげた。

ようやく異変に気がついた竜二が駆け寄ってきた。
「千夏、どうした?」

声をかけられて、私は震える指先で近づいてくるピエロの人形を指差した。
人形の動きは思いの外早くて、すでにサッカーボールのところまで来ている。

グラウンドの中央付近だ。
「ピエロ? あれって千夏が言ってた人形に似てない?」

綾の言葉に私は何度も頷いた。
似ているどろこか、私が購入したものに間違いないと思う。