その顔がニタリと笑っているように見える。
「こっちに来ないで!」

ぶんぶんとバッドを振り回してみるけれどピエロは気にする様子もなく近づいてくる。

狭い部屋の中でグルグルと回って逃げるしかない。

クローゼットの中に隠れようかとも思ったけれど、扉を開いている間にあっという間に距離を詰められてしまいそうだ。

「来ないでってば!」
容赦なく近づいてくるピエロへ向けて叫ぶ。

ピエロはそんなことでは止まらない。
むしろ人を追いかけることを好んでいるようにも見える。

走りながら私はドアノブへ手を伸ばした。
外へ脱出しようとドアを開けようとしたのだけれど、そのドアはビクともしない。