竜二の言葉に少しだけ心がホッとする。
自分までピエロに操られていたかもしれないと思うと、怖くて仕方ない。

それからバスに30分ほど揺られて到着したのは、男性が言っていた山の麓だった。
「公園はこっちだって」

健太がスマホで地図を確認しながら誘導してくれる。
「大きな家が多いけど、全部空き家だね」

綾が周囲を見回して言った。
山の麓には沢山の家が並んでいるけれど、誰も暮らしていないみたいだ。

荒れ果てた家家がそのまま残されている。
「駅前に大きなビルが建って便利になったから、みんな引っ越したんじゃないか?」

竜二が言う通り、駅前には大きなマンションビルが林立している。
外へ出なくてもマンション内だけで生活できるようなところも多かった。