「確かに、売り物にするにしても大の大人がゴミ箱から人形を拾うとか、ちょっとね……」
綾も健太の意見に同意みたいだ。

「もしかしたら、そこからなにかが始まっていたのかもしれないよな。ピエロはこのままじゃ自分がゴミとして燃やされてしまうとわかったから、男性に拾うように思い込ませたのかもしれない」

ピエロが出てきた時世界は別世界へと代わる。
自分のことを拾うように洗脳することくらい、できそうな気がした。

「それじゃ、私がそのピエロを買ったのも偶然じゃないのかもしれないってこと?」

私の問いかけに健太は曖昧に頷いた。
「その可能性もあるな。なにかピエロに心当たりは?」

「なにもないよ。ピエロの人形を買ったのはあれが初めてだし、思い出もそんなにない」

幼い頃遊園地でピエロを見て、奇抜なメークが怖くて泣いたことがあるくらいだった。

「それなら購入者は誰でもよかったのかもしれないな。千夏が偶然買ったってだけで」