「健太に面白い本を教えてもらえば、ちょっとは委員会も楽しくなるんじゃない?」
私が健太に話をふると眼鏡の奥の目がキラリと光った。

「どんな本がいい? まずはエンタメ色の強い本から入ったほうがいいと思うけど」
「やめてくれよ。本とか、あんまり興味ないんだって」

健太にロックオンされた竜二が広い校庭を逃げ回る。
その姿を見て私と綾は笑っていたのだけれど……。

カランッ。
微かな音が聞こえてきて私は視線をそちらへ向けた。

ちょうど校門がある方角から聞こえてきた気がする。
校庭に残されたサッカーボールが風にフラフラと揺れているだけでなにも見えない。

気のせい?
そう思ったときだった。

校門も奥から音楽を奏でながらピエロの人形が姿を見せたのだ。