「で、中学どこから来たの?」

「〇〇中学ってところ!」

「え、聞いたことないわ、そこ。近い?」

「えっとね、××市の中学校!」

「え?!めちゃくちゃ遠いじゃん!ここから1時間くらい?」

「そう、結構電車が長くてさ〜。」

「わざわざこんな遠い学校、なんで選んだの?」

「えっ、と。それは…。」

本当の事は、言いたく、ない。というか、初日で重い話をするのも…というのもある。

でも…嘘をつきたくも、ない。

「あ、あのね…」

「あ、ごめんごめん。まだ会ったばっかりなのに踏み込みすぎた。
答えたくないなら全然。」

あぁ、凪は…。

「優しいね。」

ぽろっ、と言葉が口から溢れる。

「…え、アタシが?!」

見ると凪は心底驚いたような顔をしていた。

「アタシ、今までずっと性格男っぽいとかガサツとか言われてきたから…。
なんか、優しいって言われるの新鮮…かも。」

唐突なその言葉に、今度は私が驚いてしまった。

「えぇ?!
まぁ確かに男の子っぽいところもあるけど、なんていうんだろう、優しい、っていうか相手のことをよく見てる感じがする…。」

「ふはっ、そんなに早口になんなくても。
…ありがとう。」

そう言って、凪はニッと笑った。