(さすがKIRYUグループの経営者なだけあるなぁ……普段表に出ないって言っても、やっぱり顔が広いんだ……)

 真彩は感心しながらワインをちびちび口に運んでいると、

「キミ、一人?」
「良かったらあっちで俺らと話さない?」

 金髪ロン毛で盛り髪のチャラ男と、黒髪ツーブロックにパーマをかけた爽やか男の二人が声を掛けてきた。

「あの、連れが居るので……すみません」
「連れ?」
「さっきから見てたけど、一人だったよね?」
「あ、もしかして警戒してる? 大丈夫、何もしないって!」
「そうそう、ただ話するだけだよ」
「いえ、本当にあっちに連れが居るので失礼します」

 断っても話を聞いていないのか、聞く気がないのか真彩の言葉にまるで耳を傾けない二人の男。

 何を言っても相手にならないと判断した真彩がその場を去ろうとするも、

「待てよ」
「逃げるなんて酷いな。もしかして、俺らの事知らない? これでもモデルなんだけど、俺たち」
「そうそう、声掛けて貰えるなんてキミ、ラッキーだよ?」
「俺らと話したい女なんて沢山いるんだからさぁ」

 二人で真彩の行く手を阻むと、自分たちはモデルで声を掛けられた事はラッキーだなどと御託を並べていた。

(何なの? 別に声掛けて欲しいなんて頼んでないし……)

 さすがの真彩もこれには呆れ、反論しようと口を開きかけると、

「おい、子供(ガキ)が人の女口説いてんじゃねぇよ」

 真彩と男たちの間に割って入った理仁は、もの凄く威圧的な態度で相手を睨みつけながら牽制した。