「まぁ慣れねぇのも仕方ねぇか。それじゃあ会場に向かうぞ」
「は、はい」

 準備が整った事もあり、パーティー会場へ向かう為店を出ようと歩き始めた理仁に続こうと真彩が一歩足を踏み出した、その時、

「あっ!」

 履きなれないヒールに足を取られてバランスを崩してしまった真彩が声を上げる。

 転ぶ事を覚悟したのだろう。咄嗟に目を閉じて受け身の体勢を取ろうとした真彩だけど、すんでのところで理仁が受け止めたので転ぶ事はなかった。

「悪い、急かすつもりはなかったんだが……平気か?」
「は、はい……すみません」

 不可抗力とはいえ理仁に抱き留められる形になった真彩の鼓動は速まり、頬が少しずつ紅く染まっていく。

「ヒールは履き慣れてねぇのか?」
「はい……」
「まぁ、悠真が居ればヒールなんて履いてらんねぇか。ほら」

 離れて体勢を整えた真彩の目の前に、理仁は腕を差し出した。

「えっと……あの?」
「また転ぶと危ねぇからな。掴まっておけ」
「……ありがとう、ございます」

 たかが手を繋ぐのにも緊張するのに、腕を組むだなんて更に緊張でしかない真彩の鼓動は加速するばかり。

 理仁の腕に自身の腕を絡めた真彩の頬は熱を帯び続けていた。