クリスマスを数日後に控えている事や飾り付けられたツリーが鬼龍家のリビングに置かれて少しだけクリスマスムードが漂っている事もあって悠真は勿論、鬼龍家に住んでいる者皆が少しだけ浮き足立っている中、

「真彩、二十四日は俺に付き合ってくれ」

 夕食を終えて朔太郎と悠真と真彩の三人がリビングのテレビを観ながら寛いでいると、翔太郎と共に帰宅した理仁が姿を見せるなりそう口にする。

「二十四日……何かあるんでしょうか?」
「ああ、懇意にしている企業の社長が毎年パーティーを開いていて参加しているんだが、そこの社長が女好きで女がいる方が華やかだからと必ず女性同伴なんだ。俺は社長の代わりにとして参加していて、いつもはKIRYUの社員の誰かを適当に連れて行くんだが、見知った奴の方が俺としても楽だから今年は真彩、お前に頼みたい」
「そうなんですね、そういう事ならば是非お供させてください。あ、でもパーティー用のドレスなんて……」
「そんな物は俺の方で用意するから気にするな。という訳だから朔、二十四日は真彩が居ないから、お前と悠真で過ごしてくれ。クリスマスイブだし、好きな物を買って食えばいいから」
「了解っス。いいか悠真、二十四日はクリスマスパーティーだ! 張り切って準備しような!」
「うん!」

 理仁と共にパーティーへ出席する事になった真彩が一日留守になるので悠真が悲しむかと思いきや、二十四日は朔太郎と悠真の二人でクリスマスを楽しむらしく、終始機嫌が良い。

 クリスマスが楽しみなのか、大好きな朔太郎が居るので寂しくないからなのか、今までならば『ママ、ママ』と騒いでいた悠真が全く騒がない事に寧ろ真彩の方が寂しさを感じていた。


「それじゃあママ行ってくるから、朔太郎くんや他の方に迷惑かけちゃ駄目よ?」
「うん!」
「姉さん、心配しなくても大丈夫っスよ! 俺が責任持って面倒見ますから! 姉さんもパーティー楽しんで来てください!」
「ありがとう。それじゃあ、行ってきます」

 二十四日、理仁と共にパーティーに出席する真彩は美容室でヘアメイクをしてもらう為午前中から出掛けて行く。

 朔太郎が付いているし、ここ数日やけに悠真の機嫌も良い事から心配ないと思いつつも、やはり気になってしまう真彩は出掛ける直前まで皆に迷惑をかけない、泣かないよう悠真に言い聞かせた。

 実は、悠真が機嫌がいいのにはある理由があって、真彩たちが出掛けてすぐ、その為の準備に取り掛かっていた。