「悠真は欲しがってる。遠慮はしなくていいから明日出掛けて買って来い。そこで、プレゼントも買ってくるといい」
「すみません、ありがとうございます」

 悠真に聞こえないよう小声でツリーとプレゼントを買うように伝えた理仁。そんな彼の気遣いに真彩は心の底から感謝をし、甘える事にした。

「朔太郎くん、ちょっと良いかな?」

 中途半端な時間に昼寝をしてしまった悠真がようやく寝たので、残りの家事を片付けて部屋へ戻る途中、朔太郎の部屋にまだ灯りが点いているのが見えた真彩は声を掛ける。

「姉さん、どうしたんスか?」

 その声に気付いた朔太郎は襖を開けて何の用かを問う。

「あの、悠真が書いたっていうサンタ宛の手紙の事なんだけど……」
「ああ、あれっスか」
「悪いんだけど、少しだけ見せてもらえないかな? 悠真の欲しい物が分からなくて」
「あーでもあれ見ても全く分からないっスよ。俺も気になって傍で見てたんスけど、字って言ってもミミズが這ったようなモンで大半が絵だったし、その絵もイマイチ何だか……。それでそれとなく聞いたんスけど教えてくれなかったんで分からないんスよね」
「そっか……」
「まぁ、悠真は何でも喜ぶと思いますから、姉さんがあげたい物をプレゼントするといいっスよ!」
「……そうね、そうする。寝る前にごめんね、それじゃあお休みなさい」
「はい、お休みっス!」

 結局手紙を見た朔太郎にも分からないという事で悠真の欲しい物のリサーチが出来なかった真彩は何をプレゼントするべきか悩みながら部屋に戻り、布団に入っても暫く悩み続けていた。