「さくー!」
「ん? もう戻って来たのか? ママに絵本読んでもらうんじゃなかったのか?」
「ゆうま、サンタさんにおてがみかきたい!」
「サンタに手紙?」
「ほしいものおてがみにかくの!」
「ああ、そういう事ね」
「かみほしい」
「んじゃあ画用紙使えって。ほら、これにクレヨンで書きな」
「うん」

 真彩の元を逃げるように出て行った悠真は朔太郎の部屋に戻って来るなりサンタに手紙を書くと言い出した。

 意図が分かった朔太郎は悠真に画用紙とクレヨンを渡すと、雑誌を読みながら上機嫌で手紙を書く悠真の様子を時折覗き見る。

 手紙と言っても、まだ上手く字が書けない悠真は欲しい物の絵を描いているようで、何を描いているのか気になった朔太郎がそれとなく問い掛けた。

「なぁ悠真、サンタに何をお願いしてるんだ?」
「ないしょー!」
「何だよ、教えてくれてもいいだろ?」
「……ママにいわない?」

 けれど真彩の時同様頑なに教えたがらない悠真。しかし、そこで諦める朔太郎ではなく、教えて欲しいと頼み込むと悠真は何故かママに言わないかと確認した。

「言わねぇよ。男同士の秘密ってヤツだ! だからな? こっそり教えてくれって」

 悠真の様子から真彩も欲しい物が何か分からず苦戦している事が想像出来たので、聞いた後でこっそり教えるつもりでいた朔太郎。

 そんな朔太郎の意図を知らない悠真は、絶対に言わないと言って聞き出そうとする朔太郎の『男同士の秘密』という響きが気に入ったのか、

「じゃあ、さくにはおしえてあげる! あのね――」

 特別に教えるという流れになって、こっそり耳打ちをする悠真。

 そんな悠真の言葉を聞いた朔太郎は、

「……そっか、それは良い案だな! 俺からもサンタに頼んでやるよ!」

 笑みを浮かべて自分もサンタに頼んでやると口にした。