真彩からすれば家政婦として雇われる事は願っても無い事なのだが、それにしては貰える金額が多過ぎる気がしてならない。

(屋敷って言うくらいだから、余程のお金持ち……って事だよね? きっと物凄く大きな御屋敷なんだ。高級な物が沢山置いてあるような……。家事は得意な方だけど、御屋敷の家政婦なんて、私に務まるかな……)

 考えれば考える程不安ばかりが押し寄せてネガティブモードになるも、やると決めたからにはどんな仕事でもこなさなければならない。

(務まるかなじゃなくて、やらなきゃ!)

 そう自分に言い聞かせて喝を入れた真彩は改めて理仁に視線を向ける。

「あの、一つお話しなきゃならない事があるんですけど、いいですか?」
「何だ?」
「実は私、バツイチ子持ちで……子供を今、託児所に預けているんです。住み込みで働く際、一緒に住まわせてもらっても大丈夫でしょうか?」

 真彩の告白内容が全くの予想外だったのか理仁は一瞬固まった。

 けれど、その話を聞いた事で彼の中にあつた疑問に全ての合点がいったのか「そうか、それで……」と小さく呟き納得し、

「構わない。早速迎えに行ってやれ」

 口元に小さく笑みを浮かべながら言葉を返した。

「ありがとうございます!」

 安堵の表情を浮かべた真彩は満面の笑みを理仁に向けて感謝の言葉を口にした。