そこまで言われてしまうと最早それ以上何も言えず、しかも断りにくい。

(怪しさはある……けど、どうせ水商売をやろうと思ったんだから、覚悟を決めるしかない……よね。生きていく為には)

「……私は神宮寺 真彩と言います。どんな仕事でも頑張ります! 一生懸命働きます! どうぞよろしくお願いします!」

 不安は残るものの、覚悟を決めた真彩は理仁の提案を受ける事にした。

 月収額から紹介される仕事を推測すると、風俗では無いにしろ水商売の類だと真彩は考えていたのだけれど、話は思わぬ方向へと進んでいく。

「それじゃあ真彩、早速行くぞ。住み込み希望って事だが、今のお前の身軽さからすると、荷物は何処かに纏めて置いてあるのか?」
「あ、はい。近くのビジネスホテルを借りていて、そこにあります」
「じゃあまずはその荷物を取りに寄ってから行かないとならねぇな」
「あの……行くって何処へ……」
「俺の屋敷だが」
「鬼龍さんの……?」
「理仁で良い。お前の仕事は屋敷の家事全般だからな。屋敷に来ないと仕事にならねぇだろ?」
「え? 私、家政婦として雇われるって事ですか!?」
「何だ、嫌なのか?」
「い、いえ、そうではなくて、その……月収額からして、水商売の類かと思ったものですから……」
「そうか。まあ本気でそっち方面で働きたいなら止めはしねぇが、お前は違うだろ? それに正直俺はお前に水商売は務まらねぇと思ってる。だから家政婦が妥当だと判断した」