約三時間半後、艶を失っていた黒髪はしっかりとトリートメントなどを施されて艶のある綺麗な茶髪へと変わり、乱雑に切られていた少し重めのミディアムボブの髪もきちんと切り揃えられて、すっきりとしたストレートのボブスタイルへ生まれ変わった。

 そして、普段全くしないという化粧をしてもらい、透き通った透明感のある肌、整えられた眉毛、カールした長い睫毛にパッチリ二重、それからナチュラルな薄いピンク色のリップグロスが塗られてぷっくりとした唇。

 更に、スタイリストが選んだ白色無地のキャミソールと厚手のカーディガン、首元にはさりげなく光るダイヤのネックレス。裾にフリルの付いている花柄のロングスカートといったシンプルだけど清楚で純なイメージにも見える落ち着いたコーディネートをされた真彩。

 着替えを終え、改めて全身を見た真彩が自身の変わりように驚いていている中、

「こりゃ随分と化けたモンだな」

 スタイリストに全てが終わった事を(つげ)られ中へ入って来た理仁もまた、真彩の変わりように驚きの声を上げた。

「理仁さん! あの、どうでしょうか?」
「似合ってる」
「本当ですか?」
「ああ。俺は嘘はつかねぇ。そもそもお前は元が良いんだから、普段からもっとお洒落に気を使えばいい」
「そんな事、ないです。それに、普段はやっぱり動きやすい方がいいので」
「まぁ、家事をするには動きやすい方が良いだろうが、出掛ける時はこうしてお洒落をすればいい」
「でも、悠真が居ますから」
「お前は今は一人じゃねぇ。普段は朔や翔、他の奴らも近くに居る。悠真の事はいくらでも見る奴がいるんだから、お前はもっと自分の事を優先していいんだ」
「……ありがとうございます」
「さて、せっかくお洒落してんだ。このまま帰るなんて勿体ねぇ。このままもう少し出かけるぞ」

 そう言って理仁は真彩の手を取って歩き出す。スタッフたちに見送られた二人は手を繋いだまま繁華街を歩いて行く。