「……ありがとうございます。それじゃあ、少しだけ覗いてみますね。実を言うとここの洋服って良いデザインの物が多くて、悠真にも着せてみたいなって思ってたんです」

 そんな理仁の意向を汲んだ真彩は遠慮してばかりも申し訳ない事に気付き、気を遣わせないよう多少は甘えようと考えを変えた。

 それから何軒かショップを回って子供服や日用品など、生活に必要そうな物を買い込んだ真彩たち。

 真彩が時計に目をやると、そろそろ朔太郎たちと落ち合う時間になる事に気付いた。

「沢山買って下さってありがとうございます。そろそろ時間ですし、戻りましょうか」
「確かに沢山買い込んではいるが、真彩、お前自分の物は全然買ってないじゃねぇか」
「そんな事ないですよ? 必要な物は全て買いましたから」

 理仁の言う通り、見て回っていた時間の殆どは悠真の為の物で、真彩の物と言えば下着や最低限生活に必要な物しかない。

「私の服は持っている物を気回せば十分ですから。みんなもう駐車場に戻ってるかな? 悠真が迷惑を掛けているといけないので戻りましょう」

 けれど真彩は持っている物だけで事足りると言って全く興味を示さず、駐車場へ戻る事になった。