「到着しました!」

 自宅から車で約一時間、市街にある大型ショッピングモールに辿り着く。

 同行者は朔太郎と翔太郎の二人で、理仁や真彩たちから少し離れつつも何かあればすぐに対応出来る距離を保ちながら付いて回る。

「何処から見るんだ?」
「おもちゃ!」
「そうか、ならまずは玩具屋……三階のようだ」
「はやく、はやく!」
「ちょ、悠真、走ったら危ないよ?」
「あれ? さくは?」
「朔太郎くんはお仕事中だから……」
「さく、いた! さーくー!おんぶして!」

 悠真は朔太郎の事を気に入っていて、車では一緒に居たのに店に入るなり姿が見えなくなった事を気にしていたようだが、離れた所に控えていた彼を見つけるなり一目散に走り出す。

「見つかっちまった……。すいません、理仁さん」
「さく! おんぶ!」
「いいから、悠真の好きにさせてやれ」
「分かりました! ほら悠真、乗っていいぞ」
「わーい!」

 そんな訳で結局五人で見て回る事になったのだが、どこか威圧感のある理仁、朔太郎、翔太郎が揃うと心無しか周りが距離を置いていくように感じる真彩。理仁もそれを感じとったようで、

「朔、翔、お前ら二人に悠真の事を頼む。欲しいと言う物は何でも買ってやれ」
「そんな! 一つで十分ですから……」
「遠慮なんてしなくていい。子供の玩具くらい大した額じゃねぇんだから。頼んだぞ、二人共」
「了解ッス!」
「分かりました……それで、兄貴たちは?」
「俺は真彩と他の物を見て回る。二時間後、駐車場で落ち合おう」

 皆でぞろぞろ回るより二手に別れた方が効率も良いのと周りからの視線も気にならないと考えた理仁は、悠真を朔太郎と翔太郎に任せ、自分は真彩と買い物を済ませる事に決めた。