「一人で悠真を守りながら過ごして来た今までよりも、ずっと安心して過ごせています。だからあの日、理仁さんに声を掛けて貰えて良かったです。これからも、よろしくお願いします」
「…………」

 真彩の言葉は理仁にとって、意外な言葉だったのだろう。衝撃を受けるのと同時に理仁は胸の奥がじんと熱くなるのを感じていた。

「まさか、そんな事を言われるとは思ってもなかった。お前や悠真が怯えずに暮らせるよう、俺らは最善を尽くす。だから、これからも頼むぞ、真彩」
「はい!」

 真彩は思う。これからも鬼龍組を支えていける様に、一生懸命自分に出来る事をしようと。そして、皆に迷惑がかからないように勝手な行動をしない様に心掛けようと。

「それじゃあ明日も早いので、これで失礼します」
「ああ、おやすみ真彩」
「おやすみなさい、理仁さん」

 挨拶を交わし理仁の部屋を後にした真彩は軽い足どりで自室へ戻って行き、それを密かに見守っていた朔太郎と翔太郎もまた口元に笑みを浮かべながらそれぞれの自室へと戻って行くのだった。