「違います! あれは私が――」
「もういい、済んだ事だ。何より、お前に怪我が無くて良かった。それだけだ」
「……理仁……さん」

 真彩はそれ以上何も言葉に出来なかった。それは、自分を責める事もせずにいてくれる理仁に何を言えばいいのか分からなかったから。

「この前、お前や悠真の事は命に代えても守ると言ったのに、これじゃあお前も不安だろう。もう少しよく考えねぇとな」
「いえ、そんな事ないです! 理仁さんをはじめ、朔太郎くんも翔太郎くんも他の組員の皆さんもとても良くしてくれています! 皆さんが居るから、私も悠真も安心して過ごせているんです! 今回の事は、私の自覚が足りなかったせいですから、理仁さんのせいじゃありません!」
「いや、俺が甘かったんだ。真彩が自覚出来ねぇのは仕方ねぇさ、普通に生きてりゃ、そうそう俺たちのような人間と関わる事なんてねぇんだから。どの程度危険かだって想像し難いだろう」
「……朔太郎くんから、聞きました。どのくらい危険があるのかという事を」
「そうか。本来守ると言った俺の傍に置くのが一番なんだが朔に聞いた通り、俺は色々な奴から恨みを買ってるから俺の傍に居る方が危険になる。だから朔や翔たちの傍に置いてるんだが、それでも危険な事には変わりねぇ。けどな、だからといってお前や悠真を屋敷に押し込めたままで居させる訳にもいかねぇし、俺としては出来るだけ普通に生活させてやりたいと思ってるんだが、今日の事で怖くなっちまったか?」
「……確かに、怖くないと言えば嘘になるし、もしあれが悠真と一緒に居る時や悠真一人が捕まっていたらと思うと、怖くてたまりません……でも、危険な目に遭う事なんて普通に生活をしていても起きるかもしれませんし、寧ろ今の方がずっと安心出来ます。だって、皆さんが私や悠真を気にかけて、守ってくれるから」

 真彩は理仁を真っ直ぐに見つめながら、言葉を続けていく。