「理仁さん」
「ん?」
「……私、四人家族になれて、本当に良かったって思ってます」
「俺もだ。悠真も理真も可愛いし愛おしい存在だ。真彩と同じくらい愛してる。これからは、もっと良い父親にならねーとな」
「理仁さん……。理仁さんは今でも充分、良い父親ですよ?」
「いや、全然だ。悠真や理真にとって尊敬される父親になりてぇけど、俺は組織の人間だし、抗争が起きれば、子供たちにも迷惑をかけちまう。そうならねぇように、組織の治安を良くしていかねぇとな」
「無理だけは、しないでくださいね?」
「分かってる。お前たちを悲しませるような事だけは、しねぇから」

 不安そうな表情を浮かべた真彩の肩を抱いた理仁はそのまま自身の腕の中へ彼女の身体を抱き締める。

「しかし、子供ってのは本当に可愛いな。理真は真彩似だから余計に可愛い」
「もう、理仁さんったら……」
「成長するにつれて、ついうるさく言っちまいそうだな、口煩く言って嫌われねぇように気をつけねーと」
「大丈夫ですよ、理真はきっと、お兄ちゃんの事もパパの事も大好きって言うような子になりますから」
「そうだといいな」



 真彩のその言葉通り、成長した理真は「お兄ちゃんとパパの事が大好き」が口癖の女の子になるのだけど、

 それはまだ少し、先のお話――。



 ―END―