一方の真彩は、

「あの、一体何なんですか?」

 買い忘れた物を買い終えて店内を出た瞬間、ガラの悪い二人組の男に半ば無理矢理スーパーのすぐ横の小道へ連れて行かれ、男たちと対峙していた。

「お前、鬼龍組の小僧と一緒に居たよな?」
「組長の女か?」
「あなた方に答える義理はありません!」

 突然の事に驚き、一瞬何が何だか状況が理解出来ていなかった真彩だけど、『鬼龍組』に良くない印象を持っている事を感じ取り、相手は敵対している人間だと察する。

(どうしよう、早く朔太郎くんの所に戻らないと)

 本当は怖くてたまらないはずなのに、真彩は毅然とした態度で相手を見据えて恐怖心を悟られないようにするも、

「コイツ、震えてやがるぜ」
「とりあえず連れて帰りますか」
「そうだな。鬼龍組にとって大切な女かもしれねぇから、使い道もあるだろうし」

 この状況下で平然としていられる女性などそうそう居るはずもなく、身体が小刻みに震えている事を見抜かれた真彩は最大のピンチを迎えていた。

(ここで捕まったら、理仁さんたちに迷惑がかかっちゃう。何とかしなきゃ……)

 覚悟を決めた真彩は男たちが油断している一瞬の隙をついて逃げ出した。

「おいコラ待てや!!」

 しかし相手もそこまで馬鹿ではないようで間髪入れずに真彩を追いかけると、恐怖で足が震えて上手く走れない真彩の足はもつれてその場に倒れ込んでしまった。