「え?」
「新しい、命?」
「それって!」

 真彩がお腹を擦りながら頷いて見せると、組員たちは顔を見合せながら確認し合い、

『おめでとうございます、真彩さん!!』

 組員たち一同は笑顔を浮かべながらそう口にして、皆自分の事のように喜び始めた。

 そんな状況でも未だよく理解し切れていない悠真は、

「新しい、いのち?」

 と不思議そうに真彩に尋ねたので、真彩が分かりやすいようもう一度説明する。

「そう、ママのお腹の中にはね、今、赤ちゃんがいるのよ、悠真」
「悠真に弟か妹が出来るんだぞ?」
「悠真は、お兄ちゃんになるんだ」

 そんな真彩の言葉に朔太郎と翔太郎が更に分かりやすく補足をすると、

「おとうとか、いもうと……。ゆうまが、お兄ちゃん?」

 話を聞いた悠真は聞いた言葉を繰り返しながら、悠真なりに状況を整理しているようだった。

「皆には心配かけたな。安定期に入るまでは黙っておこうかとも思ったんだが、これ以上心配させてもという真彩の一声で伝える事に決めたんだ。皆、今後も真彩のサポートを頼むよ」
「任せてください!」
「真彩さんは家の事なんて気にせず、ゆっくりしてください!」
「そうですよ、負担になるといけないですから、無理しないでください」
「皆さん、本当にありがとうございます。体調が戻ったら無理のない程度に生活していくので、よろしくお願いします」

 理仁と真彩は再び組員たちに思いを伝え、皆が喜びとお祝いムードの中、一人だけ浮かない表情をしている者がいた。

 それは――

「……ママのおなかの中に、赤ちゃん……。ゆうま、おとうともいもうとも、いらない!!」
「悠真?」

 今しがた詳しく説明を受けて一人状況を整理していた悠真で、皆が呆気に取られる中、そう叫んだと思ったら立ち上がると一人部屋を飛び出してしまったのだった。