――半年後。




「理仁さん、真彩さん、おめでとうございます!!」

 鬼龍組の組員とごく一部の親しい人間のみが参加をする小さな結婚式が開かれた。

『式なんてお金がかかるからやらなくても』と言っていた真彩だったけれど、理仁が真彩のウエディングドレス姿が見たかった事、一部の人間にだけは自分たちの関係を改めて披露しておきたいという彼からの提案で、なるべくお金をかけない簡素な式が開かれる事になった。

「姉さん、本当に綺麗っス!」
「ママ、おひめさまみたい!」

 純白のドレスを身に纏った真彩はいつも以上に綺麗で、理仁は勿論周りの人間も思わず息を飲むほど魅力的だった。

「真彩、良く似合うな」
「……ありがとうございます。でも、何だか少し、恥ずかしいです……」
「恥ずかしがる事なんてねぇよ。自信を持て、お前は誰よりも一番だ」
「もう……理仁さんってば……。でも、嬉しいです」

 周りがいるのも忘れて惚気ける理仁。けれど、真彩と交際するようになってからの彼はこれまでとはだいぶ変わって、表情まで優しくなっていた。

 そんな二人を見ていると周りも温かい気持ちになる程、幸せな空間で穏やかな空気が流れていた。

「悠真、おいで」
「うん!」

 朔太郎の隣に居た悠真は手招きをされて真彩の元へやって来ると、横に居た理仁に抱き上げられた。

「俺は生涯、何があってもお前と悠真を守る。だから二人共、これからもずっと、傍に居てくれるか?」
「うん! パパとママが大すきだから、ずっといる!」
「勿論です。ずっと、傍に居させてくださいね」

 皆が見守る中、家族三人これからもずっと傍に居る事を誓い合う。

 この瞬間が幸せ過ぎて、真彩の瞳にはうっすら涙が浮かんでいた。


 真彩は改めて思う。あの日あの時、理仁に出逢えて本当に良かったと。

 そして、これからもずっと、この幸せが続きますようにと願いながら、真彩は最高の笑顔を皆に向けて、今日というこの日を心の底から謳歌するのだった。



【完】