「……理仁さんを苦しめる為に、私をどうにかしようとしてるのね」
「ああそうだ。お前ら、付き合ってないとか言ってるけど、互いに好き合ってんのが見え見えなんだよ。そういうのが一番気に食わねぇ。俺が惚れた女をまたしても横取りしたあの男が憎い」
「そんなの惇也が勝手に思ってるだけでしょ? そもそも私と理仁さんの間には何も無い。だから復讐なんて止めてよ。理仁さんはそんな酷い事はしない! その女の人と関わりがあったとしても、何か理由があったのよ!」
「理由なんて、今更もうどうでもいい。結果が全てなんだよ、世の中は。復讐を止めて欲しいって言うなら、俺にも考えがある。俺の元へ来い、真彩」
「何言って……」
「アイツの元から離れたのは、自分から俺の元へ来ようとしてたんだろ? アイツの迷惑になりたくないからって。お前はそういう奴だよな。自分の事よりも他人を優先する優しい奴だ。だから、そんな行き場を失くしたお前を俺は愛人としてこれから先ずっと面倒見てやる。嬉しいだろ? お前が俺の傍に居ると知れば、アイツは怒り狂うだろうな。それも復讐になるから丁度いい」
「愛人ですって? 冗談じゃないわ。誰がそんな……」
「あれも嫌だ、けど私の願いは聞けだ? 都合良すぎるだろ?」
「そ、それは……」
「はあ……もういいわ。何か面倒臭くなってきた。それに、お前みたいな疫病神を置いたところで運気が上がる事は無さそうだ。おい、コイツを倉庫に連れて行け」
「はい」
「ちょ、ちょっと、惇也!?」
「今はまだ、殺さねぇよ。恐らく鬼龍の野郎が来るだろうからな。アイツの目の前で俺がお前を殺す」
「……本気、なの?」
「ああ。悪いが俺もお前に対して何の感情もねぇんだ。お互い様だろ?」

 惇也の言葉に何も言い返す事が出来ない真彩。下っ端の男たちに腕を掴まれた真彩は抵抗する事もなく倉庫へと連れて行かれてしまった。