「オヤジは独り身でな、組員たちとあの屋敷で暮らしてた。鬼龍組の事を詳しく知った俺は、高校卒業と同時にオヤジに頼んで組員として加えてもらった。そして、恩を返そうと必死に組の為に働いて、オヤジに認めてもらって養子縁組の話を貰った。勿論、オヤジは俺の母親が難波組の若頭の女になった事も知ってたけど、それでも俺を養子として迎えたいと言ってくれたんだ」
「…………そう、だったんですね」
「本来なら、敵対してる組の女の血を継いでる俺なんて鬼龍の組員たちからすれば邪魔な存在でしかなかったかもしれねぇ。けど、オヤジは認めてくれた。人間血の繋がりだけが全てじゃねぇ事も教えてくれた。だからな、悠真の事も、俺は全く気にならねぇんだよ」
「……でも……惇也はまた接触して来ようとするかもしれません……その度に理仁さんたちに迷惑をかける訳には……」
「真彩、お前や悠真は俺にとってもう家族みてぇなものなんだ。家族っていうのは困っていれば助け合うものだろ? アイツにも念を押したが、俺に黙って接触してくるようなら容赦はしねぇ。お前と悠真の事は俺が必ず守ってやる。だから、離れようとするな。これからも俺の傍に居てくれ」

 理仁は自身の過去を話した上で血の繋がりは関係無い事、傍に居て欲しい事を告げると、

「……理仁さん……本当に、いいんでしょうか? 私、私も……傍に……居たいです……迷惑かけちゃうかもしれないけど、それでも、傍に居たい……」

 真彩もまた、同じ思いである事を口にした。