「この辺りにはあと二箇所公園がある。とりあえず東にある児童公園に――」
「あ、悠真!!」
「おい、真彩……」

 車の傍に立ちながらスマホで地図を表示しながら南と東に位置する公園のどちらから探すか話していると、公園のすぐ横の道路を誰かと歩いている悠真の姿を真彩が見つけ理仁の呼びかけを無視して走り出す。

「悠真!!」
「ママ!」

 悠真もまた、真彩の姿を見つけると一目散に走り出して勢いよく抱きついた。

「悠真、どうして一人で幼稚園を出て行ったのよ? 心配したのよ」
「ママ……」

 悠真を思い切り抱きしめながら、泣きたいのを我慢しつつ問い掛けると、

「俺が連れ出したんだ。ママの事で話があるって言ってな。けど、少し警戒心無さ過ぎじゃねぇか?」

 悠真ではなく、悠真と一緒に居た黒髪短髪でサングラスを掛けた一人の男が答え、

「真彩、悠真!」

 それとほぼ同じタイミングで理仁が真彩たちの傍にやって来た。

「お前、一体どういうつもりだ? 俺に用があるなら直接俺の所に来いよ」
「ああ? 俺は別にテメェに用はねぇんだよ。用があるのはお前だよ、真彩」

 言ってサングラスを外して真彩を見た男の顔を見るなり、真彩の表情が一気に青ざめ、

「あ……、……惇……也」

 元彼で悠真の父親である、檜垣 惇也の名前を口にした。