「まりか……っ!!!」

 しばらく目を閉じて、亮のことをずっとずっと考えてた。

 ……亮のことを考えすぎちゃったから、ついには遠くの方から幻聴まで聞こえ始めた。

 まりか、なんて。

 いまはもうそんな呼び方しないのに……。

 あの頃みたいに、ずっと名前で呼び合える関係のまま変わらずにいられたら、今頃わたしたちはどうしてたのかな。

 ……なんて、考えてみたってどうしようもないけれど。

 答えのない自問自答を繰り返す自分に呆れた。

 けど、それも最後になるかもしれないと思えば悪くないって思った。

 ……それなのに、やっぱりまた「まりか」って聞こえるはずのない声がして、そんなはずないってわかってるのに思わず後ろを振り返った。

 そのうち小さな光と足音がだんだんと近づいてきて、不審者かも?とびくびくした。

 けどそれも一瞬で。

 それが懐中電灯を照らした亮だとわかるまでに、そう時間はかからなかった。

「えっ、亮……?」

 幻覚かと思ったけど、違う。

 間違いなく、亮だ。