こんな夜遅くに外に出たことなんて、いままで一度もなかった。

 真夜中に家を抜け出すのは、やっぱりどきどきした。

 辺りは異様な静けさでちょっと……、いや、かなり怖い。

 なにかの鳥が羽ばたいていくちょっとの音でさえ、夜ともなるとびくっとしてしまう。

 昼間ならなんともないのにな……。

 小さな町だからはずれと言っても自転車をこげばすぐで、目的地の神社にはあっという間にたどりついた。

 近くに自転車を停めて境内へと歩き出すと、砂利を踏む靴音があたりに響く。

「着いた……」

 神社はなんだか物々しい雰囲気で、街頭すらひとつもない。

 ……神社って、こんな感じだったっけ。

 月明りでかろうじてお社が薄っすら見えるくらいだった。