ちらっと横を見る。

 やっぱり亮はなんでもないこと、みたいな顔をしていた。

 髪の毛はほんのり湿ってて、それは部活を頑張ってきた証だろうな。

 なんかわたしばっかり、ばかみたい。

「……何しに来たの? ていうか、やっぱりってどういうこと?」

「だって、なにかあったときはいつもここに座ってたし。背中丸めてさ」

「……そうだっけ」

 わたしの知らないわたしのことを、そんなふうに話されても困る。

 だって、わたしのことをよく見てた証拠って言われているみたい。