「ちょっと……っ! いままりかは関係なくない? 別にまりかは、陽菜ちゃんのことなんて悪く言ってなかったじゃん!」

 なつきがわたしをかばうようにそう言うけど、男子は納得がいかないという顔をしている。

「たしかに佐多がなんか言ってるのは聞いてないけどさ。黙って悪口聞いてるだけで同罪だろ? 毎回毎回さー。おまえら、聞こえてないと思ってんだろうけどな、こっちまでしっかり聞こえてっから!」

 ……そっか、ただ話を聞いていただけで、周りからはわたしも凪ちゃんたちと同じように見えちゃうんだ。

 そんなふうに言われたら、否定はできない……。

 だってわたしは心の中ではずっと、陽菜ちゃんをうとましく思ってた。

 まるでそれを見透かされちゃったみたいだ。

「自分たちが女子に相手にされないからって、うちらのこと悪く言わないでくれない!? 陽菜ちゃん陽菜ちゃんって、ばっかみたい!」

「はあ!?」

 言い合いは徐々にヒートアップしてきた。

 わたしはなにも言い返せずに、時間が過ぎていくのを黙って待っていた。