「……なんかまずいことになってない?」

「……たしかに」

 わたしの机の近くで談笑していたなつきと、目を合わせた。

 陽菜ちゃんをかばうような男子と、凪ちゃんたちの間近にいるわたしたちは、ただただどうしようと困り果てていた。

 どちらをかばうつもりもない。

 けれど、このままずっと騒いでいたら、亮の耳にも入るんじゃないの……?

 廊下に出て陽菜ちゃんと喋っている亮の様子を見る余裕は、いまのわたしにはない。

 繰り広げられる口論を身を縮めながら聞くことしかできなかった。

 そんなときだった。

「和島たちはともかくさー、佐多まで一緒になってるとは思わなかったわー」

「え……?」

 急に話の中にわたしの名前がでてきて、飛んできた言葉の刃に固まってしまう。

 蚊帳の外にいたはずなのに、いつのまにか渦中へと放り込まれた気分だった。