わたしを大声で呼んだみたいに、亮のこともそうやって呼んだらいいのに……。

 そう心の中で思ったりもした。

 わたしには関係のないことだともう一度自分に言い聞かせて、もやもやする心のまま陽菜ちゃんの行動には目をつぶっていた。

 諦めると、決めたから。

 これくらいのことで心が乱されてちゃ、いつまで経っても前に進めないから。

 けれど、ひなちゃんを快く思わなかったのはわたしだけじゃなかったみたい。

 案の定、凪ちゃんたちも気に食わなかったらしい。

 わたしと同じようにその様子を見ていた凪ちゃんたちは、いつもよりも大きな声で陽菜ちゃんのことを悪く言っていた。

 珍しく凪ちゃんがその怒りに共感するようわたしにも話を振ってきたから、共感するようにうんうんと話を聞いていたら……。

 それが男子たちに聞こえていたのだと思う。

「陽菜ちゃんいるの気付いてるなら、教えてやればいーのにさ。まじで性格悪いよなー」

「もしかしてひがみってやつ?」

 女子怖っ、とさっきまで亮と話していたクラスの男子が、凪ちゃんたちを責め立てた。

 凪ちゃんたちは負けじと「そんなのあんたらに関係ないじゃん!」と強気で言い返すけど、その目は泣きそうに潤んでいた。