「じゃあ、また明日ね。なつき」

 家へ帰るまでの通り道になつきの家があって、いまちょうどなつきの家の前に着いたところ。

 ばいばいと、いつもと同じようになつきに手を振った。

 わたしの家までは、あともう少しかかる。

 なにせ学校まで自転車で三十分の距離だ。

 部活の後にさらに三十分も自転車を漕ぐなんて、修行って言ってもいいんじゃない?

 疲れたからだに鞭を打って、またペダルをよいしょと漕ごうとする。

 すると、「まりか、ちょっとだけいい……?」と、遠慮がちになつきが言った。

 どうしたのかな……?

 なんだかいつもと様子が違うみたい。

 珍しい様子のなつきになんだか胸騒ぎがした。