わたしにもいつか、好きな人のことをああやって待つ日が来るのかな。

 その相手は、亮じゃないだろうけど……。

 サドルに乗って、帰る前にもう一度だけ亮の方を振り返る。

「え……?」

 亮が、こっちを見ている気がする。

 遠くて表情までは見えないけれど。

 ……ううん。気のせい、だよね?

「まりかー! 行くよー!」

「あっ、うん! いま行くー!」

 後ろをついてこないわたしに気付いたなつきが、わたしの名前を大きな声で呼ぶ。

 名残惜しかったけど、その場を後に背を向けた。