どれだけ時間が経っても、やっぱり慣れないなあ……。

 ぎこちなくちいさく手を振り返すと陽菜ちゃんは満足したようで、すぐに亮へと向き直り、またかわいい笑顔を向けて亮に甘えるような仕草を見せた。

 ……あーあ。

 嫌なもの見ちゃった。

 じくじくと痛む心に気づかないふりをして、目線をやっとの思いでそらした。

 気にしないようにと授業の準備を再開しようとしたけれど、それも叶わないみたい。

 近くで亮たちのことを噂していたうちのひとり、クラスメイトの和島(わしま)(なぎ)ちゃんから、肩をとんと叩かれた。

「ねえねえ、まりかちゃん。まりかちゃんって志田くんと小学校同じだったよね? あの子とも知り合いなの?」

 きつい視線を陽菜ちゃんの方に投げながら、そう聞かれた。

 その態度に苦笑いしながら、凪ちゃんの方を向く。

 凪ちゃんの目線はまだ、陽菜ちゃんに向けられたままだった。