一個下の陽菜ちゃんは小柄で、大きな瞳が特徴的な子だ。

 肩につかないくらいの色素の薄い茶色の髪がさらさらで、それが陽菜ちゃんの美少女感を増幅させていた。

 強い癖毛で結ぶしかないわたしの黒い髪とは、まるで大違い……。

 彼女との些細な違いですら、差をありありと見せつけられているみたいで、胸がぎゅっと苦しくなる。

「あ、まりかさーん!」

 ……げっ。

 陽菜ちゃんに気付かれてしまった。

 こちらを見て、無邪気に大きく手を振っている。

 天真爛漫なその姿に、大きな声で呼ばれたわたしの名前。

 教室内の視線は、自然とわたしへ集まった。

 ……もちろん、亮の視線も。

 だけど、亮からの視線はすぐに外れ、その態度にもずきっと胸に痛みが走った。