続けられていく会話に、さっきと同じように耳を澄ませた。

「だけどね、神様が叶えてくれるお願い事は、恋愛のことだけなんだって!」

「ふーん。だから"恋まじない"なんだ?」

「そうなの。でもね、注意があって……」

 声のボリュームがさらに小さく落とされて、わたしは注意深く耳を傾けた。

「……ほんとうに心から叶えたい強い願いがある人のところにしか、神様は現れないらしいよ。それで、ここからが一番大事で……」

 喉元から鳴ったつばを飲み込むごくっという音が、やけに生々しく響いて聞こえた気がする。

 知らないうちに握りしめていた手は、なぜか汗でびっしょりだった。