「あーあ、またあの子かわいこぶってるよ」

「男子ってなんでああいうのに騙されるのかなあ」

 ひやりと冷たい会話が、こそこそと後ろでされている。

 きついことばだなあと思うけど、内容に同感しちゃう自分もいる。

 だって、陽菜ちゃんの行動はまるで、『かわいい自分を最大限に良く見せてる』と思えるようなものばかりだから。

 さっきみたいに飛び跳ねたり、小首を傾げたり……。

 いまもほら、亮を上目遣いで見つめてる。

 背が低いことを存分に生かした仕草だな、と思う。

 わたしは身長が高いから、余計にうとましく感じるのかもしれないけれど。

 自分でもわかってる、これがただのひがみだってこと。

 後ろで喋っている子たちみたいに表立って言う勇気は、わたしにはないけれど……。

 でも、好きな人にかわいいって思われたい気持ちはよくわかる。

 相手が亮なら、なおさらだ。