「書いてないじゃん」

「え……?」

 わたしの目に映ったのは、落胆したような亮の表情だった。

 そして、亮の言葉に動揺する。

 書いてないなんて、そんなはずない。

 だってわたしはたしかに、亮の名前をちゃんと書いたんだから……!

 だけど、亮が広げて見せたわたしの紙には、なにも書いていないように見えた。

 ……そんなはず、ないのに。

 目を凝らして何度も見たけれど、そこにはなにも書かれていないように見えた。

 そうだ——、うすくちいさく書いたのと、ちいさく折りたたみすぎたせいだ。

 書いてあった文字は折りたたんだしわで、読めなくなっちゃったんだ……。