「まりか、大丈夫か?」

 こうなった原因の大部分であるだろう亮は、なぜか彼女の陽菜ちゃんじゃなくてわたしの心配をする。

 赤くなっているだろうわたしの頬に優しくそっと触れて、顔をゆがめた。

「……陽菜ちゃんのこと、追いかけなくていいの?」

 追いかけなよ、という意味で亮に言ったのに。

「俺にはまりかがいちばん大事だから」

 彼女でも何でもない、ただのクラスメイトCくらいの存在になり下がったわたしに、亮は思わせぶりなことを言う。

「……彼女いるのにそういうの、よくないと思う……」

 第一告白の返事もまだもらっていないのに。

 どっちつかずともとれる亮の態度は気に入らなくて、触れられていた亮の手を払いのけて睨みつけた。

 そんなわたしの態度に一瞬眉を下げた、ような気がする。

 けど、苦虫をかみつぶしたような顔で、亮はまた口を開いた。

「……もう、彼女じゃねーよ」

「え?」

 驚いた声を出したのはわたしだけじゃなかった。

 だけどそんなのさして気にするでもなく、亮は言った。

 「一週間前に、別れてる」と……。