パンっと乾いた音が鳴った。

 じんじんと痛みを帯びるそこに触れる。

 泣きたいのは叩かれたわたしの方なのに、泣いているのは陽菜ちゃんだった。

「梨木!!!」

 そのとき、ばたばたとこっちに近づいてくる足音がいくつか聞こえて、陽菜ちゃんを呼ぶ亮の大きな声も同時に聞こえた。

 亮を見た陽菜ちゃんの目には瞬く間に涙が溜まっていって、その瞬間にこの場を飛び出して行ってしまった。

 わたしは……、いったいなにが起きたのかと立ち尽くすしかなかった。

「やべー……、まじもんのキャットファイト見ちった」

「ちょっと敷島! 不謹慎じゃない!?」

 どうして、みんながここにいるんだろう。

 なつきに律にそれから亮が、こんな人気のない場所に来るなんて。