「亮。わたし、亮のことが好きだった」

 改めてそう言うと、心は甘くしびれた。

 亮はちいさく返事をしてそっぽを向く。

 ……照れた時の癖、変わってないね。

 噛みしめるように、その横顔を見つめる。

「……亮にとっては過去のことかもしれないけど、聞いてほしい。わたしね、わたし……」

 いざ言おうと思ったら、喉元で声がつまった。

 告白って、こんなに勇気がいるんだね。

 亮もあの時、こんな思いをして、わたしに名前の書いた紙を渡してくれたのかな……。

 なかなか言い出せないでいるわたしのことを、亮はじっと待っていてくれる。

 想いを伝えること、陽菜ちゃんはきっと許してはくれないだろう。

 でも、これで諦められるから、今日だけは許してほしい。