「……聞いてもいい? 亮はその時、なにを願ったの?」

「引かないって約束するなら言う」

「引くわけないよっ。だって、わたしは……っ」

 続く言葉が何なのか、想像できても確信は持てない。

 それだけはずっと、変えられない。

 でもこれで、やっとあのときの答え合わせができる。

 ……こんなふうにこじれた俺らを見て、神様は笑っているんだろうか。

 きっと、神様の思うつぼなんだろう。

 あの時奪った俺の大事なものを抱えて、笑ってるんだろう。

 そうだろ?

 どこにいるかもわからない、俺にとって一番大切だったものを奪った『神様』に向けて、心の中で問いかけた。